プーログ

ジャーナリストから転身 40代妻子持ちが自由に生きてみた

連載⑬40代妻子持ちが脱サラ生活へ 自堕落な生活

怠け癖に負けると後でツケが届く/

人生の再出発のお供に欠かせぬ自己管理能力――。

 

会社組織から離れてしばらくたつが、一時期、僕は新たな強敵との戦いに苦戦を強いられていた。

 

それは、「自分の怠け癖」だ。

 

昼過ぎまでパジャマ姿で過ごす自堕落な生活は、とても気持ちがいい。

 

生きる意味が根底から変わってしまい、「生活への焦り」がとれた僕は、汽の抜けたサイダーのように締まりがなくなっていた。

 

妻に取り上げられた「ニンテンドー3DS」に代わる心のよりどころを求め、近所のパチンコ屋で1円台をこっそり打つのが密かな楽しみになっている。

 

悪魔の誘いに乗るだびに、4~6千発程度、なぜか調子よく出るものだから、とかく始末が悪い。

 

「文鎮に変えない」のがせめてもの抵抗だ。

 

この日も、お菓子や日用品などの戦利品が詰まった袋を両手にさげ、自動ドアの押しボタンを肘で突いた。

 

 

救世主との邂逅に冷汗

 

奇跡のようなタイミングだった。

 

否、必然なのかもしれない。

 

視界を横切る自転車が、急ブレーキを踏む。

 

そこにあるのは、よく知った顔。

 

義理の母に、犯行の現場を押さえられてしまったのだ

 

スローモーションに変わる世界。

 

逆流する血液に、キューっと縮み上がる股間。

 

ばつが悪いどころではない。

 

 

口から出まかせ

 

袋一杯に詰まった景品を携えながらも、「あ、どうも。ちょっとトイレを借りに寄っただけで…」と僕の口から嘘がこぼれる。

 

義理の母:「あら、そうだったの。がんばってる?」

 

僕   :「ええ、なんとか。昔のツテでいい仕事にありつけそうです」

 

急場をしのごうと、見え見えの嘘が次から次へとあふれだす。

 

「それではまた近々伺いますので」と半ば逃げ出すように、妻の祖母から譲り受けた電動自転車を急発進させた。

 

 

反省の末に…

 

逃げ込んだ先は、いつものファミレス「ガスト」。

 

このブログを執筆するための、僕のドリンクバー付きの書斎だ。

 

そこで一つ、大きな問題に気付いた。

 

僕は長年編集職に携わり、生活の糧を得てきた。

 

僕はこのブログに

①見知らぬ人とのご縁やチャンスを求める

②自分の生きた証を刻む

③社会奉仕活動

 の3つの狙いを込めて書いているのだが、いまのところ稼ぎはゼロだ。

 

ところが、 昔の感覚で仕事をしているつもりになっていた。

 

完全に気が緩んでいた。

 

この状況は、だらしない自分を泥沼の「怠慢地獄」にいざなう麻薬になりかねない。

 

もとより失敗覚悟で、何のあてもなく、踏み出した一歩だ。

 

だからこそ、道を開く勢いが生まれるはずだ。

 

ばつの悪い思いを潤滑油に、さび付いた僕のエンジンが久しぶりに音を立てて動き出した。

 

ただ正直なところ、この当時と少し心持ちが変わっている。

 

家族を守る義務として頑張るよりも、「自分を信じ切る」方がきっと大切なのだ。

 

次回連載⑭では、古巣から復帰のお誘いに「狼狽してしまった」ときの話をまとめた。