プーログ

ジャーナリストから転身 40代妻子持ちが自由に生きてみた

連載⑫40代妻子持ちが脱サラ生活へ 失業手当の【3倍返し】

自営を志す場合は失業保険の要件に注意を

無職という不名誉な肩書を自らの手でつかみ取ってしまった僕だが、何も再就職だけにこだわる必要はない。

 

自営業を志し、「実業家」「経営者」という華やかな立ち位置に転じる選択もできるのだ。

 

夢を見るのは、何も若い人たちの特権ではない。

40代男性も、一生に一度の人生だ。

幸せ=安定ではない。

安定は目的ではなく、幸せへのプロセスであり、手段なのだから。

 

 

あいまいな基準 不正受給者の烙印も

 

ただ自営業を志すとなると、「準備を始めた段階」で失業手当の受給資格を失ってしまうので、注意が必要という。

 

この「自営業の準備」というのは非常に基準があいまいで、国の(あるいは自分の)匙加減一つで決まるに近い。

 

特に恐ろしいのは、失業保険受給者が国から「秘密裏に自営の準備に着手している」と解釈されると、いきなり「不正受給者」として扱われ、重いペナルティーを課せられかねないことだ。

 

最悪の場合、失業手当が止められるばかりか、総支給額の「3倍」を国に納付しなければならない。

つまり、100万円もらえる人が「不正受給している」とみなされたとたん、300万円もの大金を要求される羽目になる。

 

おまけに、不正に受けた日からの利息として延滞金まで請求されるのだ。

 

ホワイトデーのお返しどころの騒ぎではない。

 

 

重い罰則 自営の準備もNG

 

久しぶりに足を運んだハローワークで、担当者の人が「いわゆる3倍返しというやつです」と得意げに話していた。

 

本当にこの辺りはグレーゾーンのようで「パチプロは?」「メルカリで不用品を販売するのは自営なの?」と食い下がる僕のくだらない質問に対し、「都度、ルールに抵触しているかを聞いてほしい」というのが担当者の見解だった。

 

逆に、早々と再就職先を見つけた人とともに、自営業への転身を決めた者には、「再就職手当」として、失業給付金の6~7割程度に相当するお金が支給されるのだが、自営の場合「法人登記簿謄本」などの証拠をそろえて審査をパスしなければならず、「やっぱりやめる」と後戻りもしづらい。

 

この国は、起業家にとってとても「不利なルール」を設けているのだ。

 

会社勤めでないと、住む場所でさえ確保するのが難しくなるのが現実だ。

 

まあ、サラリーマン大国・日本の社会構造を考えてみると、当然のことかもしれないのだが…。

 

「どうしてもっと自由に、公平に、優しくなれないのか」

 

売れないロック歌手さながらの僕の訴えも、負け犬の遠吠えにしか聞こえない現実。

 

だからこそ、自立への道を開く挑戦は、やりがいがあって楽しいのでもあるのだが。

 

連載⑬「堕落」へ